ニュージーランドを主に生息する「マヌカ」という植物に由来するハチミツのことです。時代は遡ること約1200年前、ニュージーランドには“マオリ族”と呼ばれる人たちがいました。
マオリ族といえば世界No.1のラグビーチームである“オールブラックス”を連想する人もいるでしょう。そのイメージの通り、彼らは非常に屈強でたくましい民族だと言われています。そんな彼らの暮らしを昔から支えてきたのが、「マヌカ」という植物でした。
そのマヌカから採れるハチミツこそが「マヌカハニー」なのです。マヌカハニーは通常のハチミツが持つ特性に加えて更に強い抗菌作用を持っており、“+αのハチミツ”です。

「マヌカ」ってどんな植物なの?

「マヌカ」とはマオリ語で「癒しの木」「復活の木」を意味します。高さは約3~8mで、葉は小さくて数が多く濃い緑色をしています。マヌカの葉は、熱や咳などの風邪の諸症状、切り傷・擦り傷・刺し傷などの外傷から、筋肉痛や関節痛などの炎症にまで多岐にわたって効能を発揮するとされています。
マオリ族はこの葉をお茶のように煎じて飲んでいたことが知られており、クック船長がニュージーランドを訪れた際、発熱した船員がマオリ族からもらったマヌカのお茶を飲ませてもらったという記録が残っています。このことから「マヌカ」という植物の万能性が伺えますね。

そもそもハチミツが健康に良いと言われるのはなぜ?

ハチミツが健康に良いと言われる理由は大きく分けて2つあります。一つは栄養価の高さ、もう一つは強い抗菌作用です。ハチミツの栄養価の高さから見てみましょう。
ハチミツに含まれる糖分は、体に吸収される際にこれ以上消化・分解する必要がない“単糖類”という状態になっています。そのため非常に吸収されるのが早く、すぐにエネルギーになってくれるのです。
病気をした時やスポーツ前後のエネルギー補給にもよく用いられるほどです。また、ハチミツには糖分以外にもビタミンや、鉄分やカルシウム、ミネラルなどの様々な栄養も含まれています。

次は、抗菌作用の高さについて見てみましょう。因みに「抗菌」とは細菌が増殖するのを阻止したり、細菌を死滅させたりする効果のことです。皆さんは、ハチミツの消費期限がどれくらいかご存知ですか?ご存知でない人は、ここで予想してみましょう。「天然のものだから1週間?」「蜂の巣にずっとあるから1年?」正解は、・・・「半永久的」です!なんと、3300年前のエジプトのお墓から見つかったハチミツは食べられるほど状態がよかったそうです。もちろん多少の風味の変化はありますが、ハチミツは半永久的に腐ることはないのです。
これほどまでに強い抗菌作用の秘密は、ハチミツに含まれている水分量の少なさと、強い酸性にあります。ハチミツは糖分が非常に濃縮されていて、細菌が生存することができません。また、ハチミツを舐めた時に酸味を感じたことがあるかもしれません。実はその酸っぱさこそがハチミツの抗菌作用の一つなのです。

マヌカハニーは普通のハチミツと何が違うの?

結論から言いましょう。マヌカハニーの秘密は、食物メチルグリオキサールと、シリング酸メチルという物質にあるのです!!・・・「なんだ、それ?」となりますよね。簡単に説明致します。まず、”食物メチルグリオキサール”という物質についてです。

マヌカハニーには他のハチミツにはないさらに強力な抗菌作用があることが分かっていました。しかし、強力な抗菌作用をもたらすものが何であるかは謎のままだったのですが、2008年にドイツの食品研究者がその正体を突き止めました。

それこそが“植物メチルグリオキサール”だったのです。普通のハチミツにも抗菌作用があることは先ほど述べた通りですが、実はそれらは熱や光、体内の消化酵素に非常に弱いのです。つまり、光に当たったり体内で消化されたりすることで、せっかくの抗菌作用が弱くなってしまうのです。
一方で、マヌカハニーに含まれる“食物メチルグリオキサール”という物質は環境の変化によって壊れることがなく、どんな状況でも力を発揮することができます。

また、もう一つの“シリング酸メチル”ですが、こちらは活性酸素を取り除くことで活躍します。
活性酸素は良い働きをしてくれそうな言葉の響きとは裏腹に、体の細胞を痛めつける非常に厄介なものです。最近の研究で、老化の原因は活性酸素であるということがわかっています。そんな活性酸素、体の中に残しておきたくないですよね。マヌカハニーに含まれる“シリング酸メチル”は活性酸素をやっつけてくれるのです。

マヌカハニーの効果

ここまでマヌカハニーについて説明してきましたが、具体的な効果について見ていきましょう。

私たちの口の中にはたくさんの常在菌がいます。その菌が原因となって虫歯・歯周病・歯肉炎・口内炎などを引き起こします。
中でもミュータンス菌というのは最も強力です。マヌカハニーはミュータンス菌に対して高い効果を発揮することで、虫歯を予防する効果もあるのです。

ピロリ菌という名前は誰もが一度も聞いたことがあるのではないでしょうか。ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎・胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発生につながります。
そこで、先ほど紹介した“食物メチルグリオキサール”が効果を発揮します。さらに、抗生物質には副作用の心配がありますが、マヌカハニーにはその心配がないのです。

はちみつ大根やはちみつ生姜などのレシピがあるように、素早く吸収されることと高い栄養価があることから風邪をひいたときの民間療法にも用いられてきました。
マヌカハニーには通常のハチミツの良さに加えて、高い抗菌作用があるので、喉の痛みなどの炎症に対しても効果があります。

私たちの腸内にはたくさんの菌がいます。それらは、大きく善玉菌と悪玉菌に分けることができ、文字通り善玉菌が多いほど腸内環境はよくなります。
一般的に善玉菌を増やすためには、ヨーグルトなどの乳酸菌を多く含んだ食品が有効とされています。
また、悪玉菌を減少させる食べ物もあります。しかし、これらの食品には善玉菌を増やすか、悪玉菌を減らすかのどちらか一方の効果しかありません。マヌカハニーは善玉菌を増やしつつ、悪玉菌を退治するという一石二鳥の効果があるのです。